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「裁判員制度体験記:頭をフル回転させた思考のマラソンに挑んだ1日【報酬・服装・参加方法】」

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こんにちは!麺やけんです。

9月に新潟県の裁判所で裁判員制度に参加してきました。裁判員制度に興味があっても、実際にどんなことをするのか分からない方も多いと思います。そこで、実際に参加した経験をもとに、裁判員制度についての疑問にお答えしたいと思います。

参加する事で何が得られるか

報酬があるのか?交通費は?服装は?

法律のことについて素人が裁判なんてできるのか?

いろんな疑問について書いていきます。

裁判員制度があるのはなぜ?

裁判員制度と黒板に書かれている。6人で話し合っている
そもそもなんで法律に詳しくない一般人が裁判をするのか?
人を裁くなんてとてもとても。
ですが
法務省のホームページにはこう書かれています。
国民の皆さんが裁判に参加することによって,国民の皆さんの視点,感覚が,裁判の内容に反映されることになります。 その結果,裁判が身近になり,国民の皆さんの司法に対する理解と信頼が深まることが期待されています。
日本だけでなくアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア
などでもこの制度をやってるようです。日本だけじゃないんですね。
確かに裁判を見るのは映画やドラマ程度で実際に見たことはない。
映画やドラマは見ている人を楽しませるために過剰に演出していますが、実際は淡々と進んでいきます。
実際の裁判は淡々と進行します。弁護士の「異議あり!」といった派手なシーンは現実にはほとんど見られません。

裁判員の報酬はいくら?

裁判員制度は裁判員6人、補充裁判員2人が選ばれます。(合計8人)

補充裁判員とは裁判員が怪我や病気の際に代打要因として選ばれます。

そして日当が裁判員と補充裁判員で違います。

裁判員1日10100円以内

補充裁判員1日8100円以内

交通費は

自宅から裁判所までの鉄道運賃・船舶運賃・航空運賃とそれ以外の区間は1k当たり37円の計算になります。

自分の場合

長岡〜新潟の区間が電車賃だと1170円で往復で2340円。

鉄道料金以外が400円ぐらい。

2340+400=2740円

自分の場合は車で行きました。高速を使ったので

長岡〜新潟西の区間が1600円、往復だと3200円。その時点で500円ほど足が出ます。(これは自腹)

この金額を安いと見るか高いと見るかは一旦置いといて

裁判員と補充裁判員の2000円の差はなんだ?補充裁判員は裁判員と同じ時間に集まり、同じだけ評議して同じ時間に解散となります。

多分ですが、同じことやってるのに2000円も差額があるのは補充裁判員としてあまり納得いかない気がします。

裁判員と補充裁判員は同じ業務をこなすにも関わらず報酬に差がある点については、参加者としては少々不公平に感じました。

この点は、今後の議論を呼ぶかもしれません。

(裁判員の報酬は、1日あたり10,100円以内、補充裁判員は8,100円以内となっています。なお、これは上限額であり、実際の報酬額は日数や裁判の内容によって異なる場合があります)

裁判員の服装マナー

これは一番悩むところ

スーツで行けばいいのか?普段着でもいいのか?

調べてみると常識的なファションでと書かれています。

これが一番悩む!

自分はこんな格好で参加しました。

↓↓↓

半袖の男が立っている

黒色のポロシャツ(洋服の青山で買った)

スーツのズボン(洋服の青山で買った)

サンダル   (ゼビオで買った)

服装に関しては、『常識的なファッションであれば問題ない』とされていますが、サンダルは適切ではないため、裁判所に着いた時に履き替えるのが一般的です。私も裁判所に到着した際には、サンダルを脱いでビジネスシューズに履き替えました。

他の参加者も自分と同じような感じでした。(ホッとしたのを覚えています)

服装についても裁判長から

「メッセージ性の強い服装以外ならどんな服装でも大丈夫ですよ」

そんな事を仰ってくれました。

〈例えば〉Tシャツに無罪とプリントされてる服はやめてくださいとのこと。

もし迷ったらユニクロの無地の服を着ていけば大丈夫です。

ちなみにですが

半袖、長袖の両方持っていくといいです。自分が参加した時は夏場でしたが冷房がガンガン効いていました。冷房直撃地点は寒い思いをするので長袖も念のため持って行ったほうがいいです。

冬場も同様に

裁判員のお昼事情

裁判中のお昼は、裁判所から提供される弁当(有料)を頼むことができます。

  • 肉メイン弁当
  • 野菜メイン弁当
    どちらも500円で、注文は受付時に行います。もちろん、自分で持参することも可能です。私の場合、持参した方が気が楽だと思い、自分の好きなものを持って行きました。

受付「お昼の弁当どうしますか?」

と聞かれるので頼みたい人はその時にお願いしましょう。

もちろん、断って持参しても大丈夫です。

 

余談ですが、、、

裁判員制度の初日のお昼の時間は静まり返っていました。笑

一つのテーブルを囲って食べるんですが

初めての場所で

初めて会った人たちが

初めて食事する。

お互いが緊張してるし会話もない。もちろんBJMもない。

ただただ、咀嚼音だけが聞こえる。

もぐもぐ

もぐもぐ

カリッ(たぶんレンコン)

もぐもぐ

もぐもぐ

ズズっ(お茶をすする音)

唯一のBJMはグオーンと鳴り響くエアコンの稼働音。

お笑い芸人が、あまりにスベッてエアコンの音が聞こえた

と聞いたことがありますが、どうやら嘘じゃないようです。

 

実際に裁判に立ち会う

裁判で叩かれる木槌ガベル

裁判を一度も見たことがない自分が初めての裁判に挑みます。裁く側で。

心の中で自分が裁判をすることになるなんて(ありえね〜)と思いながらも裁判が始まるまで緊張しながら裁判員待機室で待ちます。みんな無言で緊張しているのが伝わりました。

裁判員待機室の電話が鳴り法廷の準備が整った事を知らせてくれます。

裁判官「では行きましょう。あまり緊張しなくても大丈夫ですよ」ニッコリ

とはいえ、やっぱり緊張します。

裁判を観たことがなく、しかも裁く側として参加するのは全くの初めて。心の中で『自分が裁判をするなんてありえない』と思いつつ、法廷に向かう緊張感が高まりました。

法廷に入る前に裏口で一列で待機。

裁判官の「では行きましょう」この一言で一斉にゾロゾロと法廷に入ります。

法廷に入ると傍聴席の人たちの視線がグワッと集まります。

法廷に入った最初の感想は、

広い!!!でした。(なんだそれは)

自分の席から見える景色は、体育館のステージから見る光景に似てました。周りがよく見える。広い。被告人が座っており、その周囲を警察官が見守っている。警察官たちは制服を着ており、真剣な表情で被告人を取り囲むように配置されている。

被告人は目の前にいる裁判官や弁護士がいる中、やや緊張した面持ちで座っている。

マジでこれから裁判が始まるんだ!

妙に胸が高鳴ったのを覚えています。

傍聴席には一般の方が約30人程度

老若男女いろんな年齢層がいる。友達同士で来ているだろう人もいました。

傍聴席の一番前で陣取ってる人がいます。片腕に何か巻いてる。新聞記者でしょうか。

そんな事を考えているうちに裁判がスタートしました。

実際に裁判員裁判は以下のように進んでいきます。

冒頭手続き

被告人の確認(身分の確認)

検察官が起訴状を朗読(今回の事件についてのあらすじ)

被告人と弁護士から起訴状に対する言い分を聞く(今回の事件を認めるのか認めないのか、又は争うのか)

自分が経験した裁判は検察官の言う通り認めますという内容でした。

しかし、情状酌量を求めるという事でした。

情状酌量とは、情けをかける事情があるので判決を申し渡す際に、刑を軽くすること。

要するに、事情があったから温情ある判決してね。刑を重くしないで。ということ

今回は認める、ということで話が進みましたが「争う

となると大変なんだとか、、、

証拠調べ手続き

検察官、弁護士が証拠を元に事実を説明(実際に事件で使われた凶器や押収品を提示)

証拠を元に被告人に質問(どのようにして使用したか細かく質問)

ここで超細かく被告人に質問します。

検察官「○月◯日にあなたは〇〇と連絡しましたよね」「〇〇にあなたは指示しましたよね」

などなど、携帯の履歴から

誰と通話したか

誰と連絡したか

インターネットで何を調べたか

事件に関わることを洗いざらい聞き出します。

弁論手続き

検察官が事実を元に法律的問題の意見を述べる(被告人がしたことは〇〇に違反している)

検察官が被告人に与えるべき刑を述べる(だから懲役〇年で罰金〇〇ね)

弁護人が事実関係を元に意見を述べる(認めるけど、この部分はあまり関与してないから刑を軽くしてほしい)

被告人が意見を述べる(争わないし認めます。情状酌量を)

このとき最後に裁判員と裁判官が被告人に質問することができます。

事前に質問事項を決めてから弁論手続きに臨みますが

この質問する時が一番緊張しました!!!

今まで聴いてるだけだった裁判が、自分が裁判の一部に組み込まれるいような感覚。

一気に体が熱くなる瞬間。

動物園のライオンを檻の外で見ていたが檻の中でライオンを見るような感覚。変な身動きができないような張り詰めた空気。

事前に質問事項を一字一句書いといてよかった。書いておかなかったら間違いなく緊張で飛んでた。若干声が震えていたと思います。

質問する時、声が震えるのを感じながらも、冷静に答えるように心がけました。

リアルにこの時が自分が裁判に参加している事を強く感じた瞬間でした。

評議開始! 事件の関与度を評価

評議になると別室に移動します。

今までより広い部屋に移り、机を円卓状に並べてから評議をスタートします。約3日〜5日かけて、この部屋で検察官が出した証拠資料を精査していきます。

(この証拠資料が辞書ぐらいの厚みがありビビります)

ここで評議について説明しておきます。

評議では被告人の行動の背景、事件の重大さ、そして刑の重さについて話し合います。

被告人が事件にどれほど関与してたか?

その罪がどれほど重いのか?

これらを決めていく中で、被告人の人間性や動機、事件の影響を考慮して最終的に評決にどのくらい反映させていくか!

辞書ぐらい厚みのある証拠資料からこれらを読み解いていきます。(頭痛くなってきた)

実際に頭痛がしてきました。笑

普段の実生活でこれほど頭を使うことが無かった私にとって、脳みそフル稼働

の環境はまるで別世界のようでした。

個人事業主として開業して、考えながら生きてきたつもりです。

つもりだった。つもりだったんです。。。。。

この考えるという事が私にとって1番の収穫でありショッキングな出来事でした。

まるで背後からガツーンと殴られたかのような感覚です。

評議2 共謀か幇助か

論より証拠

評議では、事件の重大さや被告人の行動を考慮し、刑の重さを決定します。

共謀(きょうぼう)同じ目的で事件を計画し犯罪を実行すること

例え

AさんとBさんが「銀行を襲ってお金を盗もう」と話し合い実行のために準備を進めた場合

幇助(ほうじょ)犯罪を円滑に進めるための手助けをすること

例え

AさんがBさんに「銀行を襲うために車を貸す」と言って実行の手助けをする行為

簡単に書くとこんな感じです。

では、今回の証拠資料ではどちらでしょう〜

いやちょっと待って、初めて聞いた言葉ですよ。と焦りますがそこは大丈夫です。裁判官の方達がわかりやすく説明してくれます。

その他、わからない用語も多々出てくることもありますが、

大丈夫!!!笑

私がわからないことは、他の裁判員も判りません!安心してください!

むしろわからないことは積極的に質問しましょう。

私はわからない事はドンドン質問してました。

そこからはまさに缶詰状態です。ひたすらに評議!評議!評議!

参加者の顔が日に日に疲れていくのがわかりました。

自分一人で評議を重ねていくのではなく、裁判官、裁判員全員で作り上げていきます。まさに共同作業。納得のいく判決まで辿り着いたとき、運動をした後のような清々しささえあったのを覚えています。

裁判員としての最終決断

いよいよ判決の日の朝。

目覚ましを止め深く息をして、今日で全て終わるのか〜、そんな思いでゆっくり身支度を始めます。いつものように裁判所に向かいました。

の前に!

そこは個人事業主!一旦お店によってしっかり仕込みをしてから裁判所に向かいます。

最初はナビなしでは行けなかった道のりも今では鼻歌なんか歌ちゃって。

裁判所に到着して裁判員のみんなの顔を見ると、どこかスッキリしているような表情でした。評議の時のように眉間に皺を寄せ難しい顔をしている人はいませんでした。

判決言い渡しの1時間前ぐらいに全員で最終チェックをしました。一行一行確認します。テストの見直しをするように。

裁判員待機室の電話が鳴り判決言い渡しの準備が整ったことを知らせてくれます。

 

法廷に入る前に裏口で一列で待機。

合図と共に皆一斉に法廷に入り着席。

私達の裁判員としての仕事というか任務というかは終わりました。あとは裁判長のお仕事

裁判長「主文、被告人を・・・・」

判決を下す時、責任の重さを感じると同時に、肩の力が抜ける瞬間でもありました。

学校の「頭を使う」と裁判の「頭を使う」の違い

裁判員制度に参加してずっと気になっていたのは、「頭の疲労度」の違いです。学校の授業と比べ、裁判の方が遥かに脳を使うと感じました。

学校では、公式や定義を覚え、それを問題に当てはめて解答することが求められます。答えは決まっているので、どの道筋で解答にたどり着くかということが重要で、プロセスよりも「正しい答え」に到達することが求められます。これは創造性よりも正確性、論理的思考が重要だということです。

一方で、裁判では事情がまるで異なります。証拠のどれを重要視するかによって事件の解釈が変わり、刑の重さや事件の重大さにも大きな影響を与えます。裁判には「正解」があるわけではなく、複数の視点から最も合理的な結論を導き出す力が求められます。ここで大切なのは、証拠に基づいて事実を分析し、その上で法的な観点や社会的な価値観を踏まえて結論を出すことです。

裁判では、結果だけでなく、その結果に至るまでの『過程』が重要です。どの証拠をどう解釈し、どの視点を重視したか、その判断のプロセスこそが司法の公平さを支えるのです。

「学校の頭」は知識を蓄積し、その知識を正確に適用することが求められますが、「裁判の頭」では、証拠や事実を元に、矛盾のない論理を組み立て、一貫した説明を行い、最も妥当な結論を導き出す力が求められます。

「結局、学校の『頭を使う』は、公式を覚えて問題を解くスピード勝負。でも裁判の『頭を使う』は、どの証拠が本当に重要かを見極め、法的にも社会的にも納得できる結論を出すという、まさに謎解きのような作業です。しかも、答えがひとつじゃなくて、『納得できる理由』が求められる。言うなれば、思考のマラソンですね。どちらも疲れるけど、それぞれ別の方法で頭をフル回転させる点では共通しているかもしれません。」

まとめ

結局のところ参加して良かったかor良くなかったか!というところですが

参加して良かった!

今までの自分より一段バージョンアップできました。

考え方や思考の深さが成長できました。この成長は今だけの事ではなく今後もずっと続きます。

裁判員制度に参加して、最初は「本当に自分が裁判に関わるなんて…」と緊張していたのですが、終わってみるとまさに「思考のマラソン」を走り切った気分でした。

特に、裁判の証拠資料が辞書並みに分厚くて、それを読み解く作業がまるでパズルのようでした。

正直、何度も「これは脳みそがバグったのでは?」と思った瞬間もありましたが(笑)。

それでも、あの頭をフル回転させる感覚は、今後の人生でも活かせると感じています。論理的思考力が鍛えられ、どうしたら物事を冷静に判断できるか、少しだけですが頭が良くなった気がしています(たぶん)。

さらに、仲間と協力して一つの結論を出す大切さも実感しました。これ、仕事にも人間関係にも超大事ですね。

裁判が終わった後、気づいたら肩の力が抜けて、逆に清々しい気持ちになっていました。結局、「冷静に考えて判断する」ってことが一番大事だと学びました。

それと、どんなに複雑な問題でも、じっくりと向き合えば道が見えてくるということも実感。

裁判員制度に参加して本当に良かったです。思考の引き出しが増えた気がするので、これからもっと日常でも活かしていきたいと思います。もちろん、次回もし「裁判員として選ばれたら」きっとまた緊張すると思いますが、その時もきっと無事に乗り越えられるはずです。だって、もう一度「辞書サイズの証拠資料」を見ても動じない自信がありますから(笑)。

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